参考資料/Reference Materials

1. 耐震等級3とは?

■耐震等級の目安

  • 耐震等級1
    倒壊:
    数百年に一度発生する地震(東京では震度6強から震度7程度)の地震力に対して倒壊、崩壊しない。
    損傷:
    数十年に一度発生する地震(東京では震度5強程度)の地震力に対して損傷しない程度。

    建築確認を取得した一般的な木造住宅の耐震性

  • 耐震等級2

    上記の地震力の1.25倍の地震力に対抗できる。
    避難所(学校、病院等)の設計基準

  • 耐震等級3

    上記の地震力の1.5倍の地震力に対抗できる。
    防災拠点(消防署、警察署)の設計基準

2. 耐震等級3にするメリット

安心感 震度7の大地震が発生しても入居者の命と財産を守ることができる。
費用対効果大 一般的な戸建賃貸より、わずかなコスト増(約坪2万円~3万円)で最大の安心が得られる。※35年の住宅ローンで約月3,000円弱の負担増。
第三者機関による
認定評価
施工会社以外の第三者専門機関も耐震設計審査を実施し(ダブルチェック)、認定書を発行。

3. 耐震政策の歴史

■近世においてたびたび起こった地震によって、耐震基準は変遷してきました。

大正12年 大正関東地震(関東大震災) M7.9
大正15年 市街地建築物法 施行 ※世界で初の耐震を考慮した法律
昭和25年 建築基準法 施行 ※市街地建築物法 廃止
昭和39年 新潟地震
※液状化現象の研究が始まる
※2年後の昭和41年に地震保険が誕生
M7.5/最大震度5
昭和43年 十勝沖地震(三陸北部地震) M7.9/津波5m
昭和46年 建築基準法施行令の改正 ※【旧耐震基準の導入】
昭和53年 宮城沖地震 M7.4/最大震度6弱
昭和56年 建築基準法施行令の再改正 ※【新耐震基準の導入】
平成7年 兵庫県南部地震(阪神淡路大震災
耐震改修促進法 施行(10月)
M7.3/最大震度7
平成7年 ・木造住宅における構造基準の改定
・品確法による耐震等級の制定(住宅性能評価の施行)
・免震建築物(建設省告示第2009号第1項第3号に規定)の制定
※住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅性能評価)施行
平成18年 改正耐震改修促進法 施行
平成23年 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災) M9.0/最大震度7
平成28年 熊本地震 M7.3/最大震度7
平成28年 鳥取地震
「新耐震基準+平成12年の改正基準」が
最新の耐震基準
M6.6/最大震度6弱

4. 熊本地震で新耐震基準の住宅で被害が発生した原因

1. 大規模な地震動が複数回発生
新耐震であっても震度6強超を一度受けると、耐震性は65%になる
2. 地震動の周期(1~2秒)の継続時間が長かった 
木造建築被害に影響大となる
3. 地震動の加速度が大きかった
震度はどんなに大きくても最大7であり、基準法では6強~7を基準としている
4. 被害を受けた建物の地盤が軟弱地盤相当であった可能性が高い
断層とは別です
5. 熊本地域の地震係数が0.9であった
長期優良住宅での耐震基準での採用する場合の係数
6. 設計上の配慮不足
上下階での壁位置のずれ等が、崩壊建物の図面より判明
7. 耐震要素の適切な設計施工がなされてなかった可能性があった 
金物未使用等が崩壊建物の調査により判明

5. 今後の木造住宅の新築時における対策

1. 品確法の「耐震等級3」で設計
極めてまれに発生する地震力の1.5倍に対応
品確法:平成12年施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」
壁量(耐力壁)の検討だけでなく、水平構面(2階床、屋根面)の剛性確保
2. 敷地の地盤調査と地盤補強の検討
住宅瑕疵担保責任の基準により、工事前の地盤調査が義務付けられています。
建築基準法では、軟弱地盤と疑われる場合は軟弱地盤割増として地震力を1.5倍とすると定められています。
軟弱地盤の例:田んぼや池等を造成により埋め立てられたような敷地
3. 現場施工レベルにおける法令順守
2000年基準で規定された接合部金物の適切な施工等。

6. 耐震等級3プランの設計上の注意点

ファーストプレゼンの段階から以下3つのポイントを考慮し、CADで検証しながら
耐震設計を進めます。

  • 1. 耐震壁の壁量の増加とそのバランス

     
    ・直下率とは? 上下階の柱・壁の位置が重なる割合。柱:50%以上、壁:60%以上が推奨値
  • 2. 偏心率の確認

     
    ・偏心率とは? 建物の重心(中心)と剛心(構造壁の中心)がズレている割合。建築基準法で30%以内と定められています。
  • 3. 構造壁の検討

     
    ・構造壁とは? 筋交い等が施した長さ910㎜以上の無開口壁です。外壁周りに耐震ボードを採用すると筋交いの施工ミスによるリスクを軽減できます。

    ■直下率別の事故事例の割合

    直下率別の事故事例の割合グラフ

    柱の直下率が低くなるにつれ事故発生率が高くなり、特に直下率50%を境に事故が急増します。

    熊本地震での倒壊住宅に直下率の低い住宅が多くみられた。

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